相続でありがちな専門職のミス

相続登記が義務化されたので、今、司法書士業界は相続登記!とネットで集客している同職が多く、忙しくて~と言います。

私は開業当初はネットで集客していましたが、主に簡裁訴訟代理と裁判事務をHP経由で受託していました。

相続事件はほぼ紹介か、近隣の人からの依頼でした。

経験(多数の相続登記や遺産承継を受託していても)がある専門職、このなかには、弁護士、税理士、司法書士が入りますが、彼らも流れ作業的に事件処理をしている定型業務の場合は、専門職は最後の部分で確認するくらいでその事務作業そのものはほとんど事務員がやっています。

では、最初と最後の部分(いわゆる顧客対応の肝)だけ、きちんとやっていればよいのかというとそういうわけではありません。

ここでは、信託銀行などがやっている遺産承継業務は割愛します。正直、信託銀行などの従業員のレベルは上記専門職より数段レベルが低い知識や経験や実行力にあるのは、よく分かっているからです。

違いは、看板です。司法書士の誰それより、三菱UFJ信託銀行!、三井住友信託銀行! 、みずほ信託銀行!のほうがすごそうでしょう?

話を戻すと、相続でありがちな、しかし、すごい違いをもたらす専門職のミスは2つあります。

それは、土地の評価です。

遺産分割や相続税の申告における評価は前者は評価証明額、後者は相続税評価額(これは税理士ソフトですぐに出てきますが、内緒になっています=エクセルでプログラムを作ることもできますが、飯の種なので、だれも言いません)でやることが多いのですが、

調査士さんや鑑定士さん、それから経験のある司法書士(つまり、私)はそれでは評価しません。

別に隠しはしません、普通に教科書に書いてありますし、不動産業界では常識です。

つまり、その土地にどれだけの建物が建つかという視点です。

容積率、建ぺい率はもちろん、公道との関係から、土地の評価をしなければいけません。

多くの方は、土地の評価に鑑定士さんを使うことになれていない(費用をかけるのは嫌がる)のですが、億に近い遺産相続の場合であれば、上記の視点をもつ専門職に依頼をしなければ、損をするというより、相続人間で禍根を残す可能性がありますので、ご注意下さい。

この場合、司法書士は全体を仕切る役割になります。鑑定士さん、税理士さんをうまくコントロールしてゴールを目指すことになります。

2つめに、相続でありがちな、しかし、すごい違い、こちらは故意とも言える場合が多いであろう専門職のミスというより作為ですが、それは

被相続人の所有する自社株式です。

被相続人が上場株式を証券会社に持っている場合ではありません。このときは、配当請求権も相続財産であることを忘れなければいいくらいで特段難しいことはありません。

被相続人の所有する自社株式の評価は、たいてい、会社の顧問税理士とその会社を承継するであろう相続人が結託して、あるいは意図を汲んで、非常に低い評価、場合によって、マイナス評価をしてくることがよくあります。

これは違法でもなく、中小企業では毎年の決算を赤字にしてくるところはよくあるのです。

しかし、公認会計士の人なら、あるいは株式投資になれている人なら分かると思いますが、会社の価値は単純に純資産の価額を発行株式数で除したものや、会社が利益をあげているからというように評価していくものではありません。

赤字の会社なのに、社長は新しいレクサスを買い換えている、よい暮らしをしている?なぜでしょうか。

これは次回書きます。

来週はバンコクで、海外相続の相談懇親会を致します。嫁さんがタイ人、日本の財産、タイの財産、80代後半になってもタイで暮らす、そんなときに頼れる専門家=ちゃんと国家試験に合格している司法書士をどうぞよろしくお願いいたします。

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